体感型アフリカツアー

アフリカが直面してきた困難とその経緯を振り返ると?

新・現代アフリカ入門
 ──── 人々が変える大陸

勝俣誠 著 / 岩波新書

 

近年、地球最後のフロンティアといわれ期待を集めるようになったアフリカ。この大陸の国々は、これまでどんな道をたどってきたのでしょうか。

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アフリカ各国は1960年代以降、欧米諸国による植民地支配から次々と独立したものの、時代や先進国の思惑に翻弄され、様々な困難に直面してきました。私たちはその実態を統計的な数字からおおざっぱにイメージしがちですが、そうではなく、もっと文脈を捉えて丁寧に読み解くべきだ。この本はそうしたスタンスを貫いています。

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筆者は、研究者としてアフリカの北部・西部・サブサハラの各国を訪れ、人々に接することで、社会科学・経済学の視点にとどまらず、人文地理学的な理解に努めてきました。そこには、画一的ではないアフリカがありました。

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たとえば、人口規模が7000万人と大きく、気候にも恵まれたコンゴ民主共和国。農業にも適しており、鉱物資源の面でも豊かな国であるはずのこの国がなぜアフリカでも最低レベルの国民総所得に甘んじているのか。そこにうごめく各国の思惑は?

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コートジボワールは、フランスからの独立後、資源ブームに加え、カカオ豆やコーヒーと行った一次産品の輸出で高成長を遂げた後、どのような変調をきたしてしまうのか。アパルトヘイトが終焉した南アフリカが、他国のように内戦の泥沼に入ることを避けられたのはなぜか。一方でケニアは? ジンバブエの独立後はどうだったのか。じっくりと考察されています。

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また、本の後半では、映画「ブラックホークダウン」の題材となったソマリアの内戦、 「ホテルルワンダ」で描かれる虐殺、そこで国連の平和維持活動がうまく機能しなかった理由についても触れられています。

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アフリカ各国の経済的自立を促すはずだった、世界銀行とIMF主導による構造調整計画。その顛末を読むと、国や企業としての野心はあったにしろ、アフリカの発展へ向けて少なからず情熱を傾けた人たちがいたことがわかります。しかしこれまで先進国が発想した枠組みはことごとくうまくいきませんでした。

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そして今では、アフリカの内政にはほとんど干渉せずビジネスライクなつきあいをする中国が、日米欧に代わり、鉄道建設やインフラをはじめ、様々な側面からアフリカの経済発展に中軸的な役割を果たしつつあるのです。この本ではそうした事情が時代背景とのセットでわかってきます。