体感型アフリカツアー

ナイロビの若者はiPhone片手の「チーター世代」

アフリカビジネス入門
〜地球上最後の巨大市場の実像〜

芝陽一郞 著 / 東洋経済新聞社

アフリカにはどんなビジネスチャンスがあるのか? それを知りたくて読んでみました。

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アフリカへの投資といえば、道路や橋、空港の建設といったインフラがらみ、あるいは石油やレアメタルなどの資源関係? ところが、そんな時代はとっくに終わり、他の産業にも海外からの資金がどんどん流れ込んでいるとのこと。

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この本が取り上げている東アフリカの国々は、資源国というわけではないのに、経済成長が目覚ましく、ITサービスと金融サービスが非常に発展していることがわかります。ケニアの通信企業が提供する、携帯電話を使った送金サービス「M-PESA(エムペサ)」はその草分けで、他の国々へも同様の仕組みが拡がっています。家に電話を持たず銀行口座がない人にも、今ある技術で便利なサービスを提供する、既成概念にとらわれないフットワークの軽さを感じますね。

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ナイロビではiPhoneを片手にスーツの若手ビジネスマンが闊歩し、富裕層や中間層の拡大が顕著。経済発展に伴って消費市場としてのアフリカが見えてきます。

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各国は、雇用を生み出すベンチャービジネスの育成に積極的で、産業育成・経済成長の成功例であるルワンダは「アフリカのシンガポール」ともいわれているようです。

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ルワンダのポール・カガメ大統領には人権問題などの側面から賛否両論あるように、アフリカには政治や歴史的背景など色々な要素を考察すべきなのはもちろんですが、この本ではあえてそれらは脇に置いて、純粋にビジネスの視点で書かれています。

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著者は開発コンサルタントや非営利団体の人ではなく、ベンチャー企業経営と経営コンサルティングを生業とする方で、ビジネスサイドから見たアフリカに興味を持ち、この本を書いたとのことでした。それだけに、投資家としてアフリカに関わる場合どんなことをスタディーしているのか、そのあたりのイメージづくりにとても役立つ本です。

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出版がアラブの春と同時期の2011年で、数年は経っていますが、アフリカで着々と地歩を固めつつある中国、韓国、インドの戦略やビジネススタイル、市場としての魅力やそのメカニズムはとても興味深く読むことができました。成功した企業家の事例や、現地の事情も知ることができます。

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日本人がアフリカ人にどう思われているか、著者が現地で成功した日本の実業家に質問したところ「お金持ち」「お金を持ってきてくれる人」なんだそうです。「尊敬できる先進国」「技術立国」なんていう答えを期待してはいけないんですね。