体感型アフリカツアー

近頃ちょっと気になるアフリカ。人の生活や街の様子もどんどん変わって、昔のイメージとは違うみたい。でも実際のところはどうなのかほとんど知らない。そんなアフリカ初心者に、大津氏があれこれ指南。



第3回:キャリアづくりに活かせる、スタディツアー

たむろう:

ネットじゃ、わからない。現場へ行こう。これ、フレックスインターナショナルのスタディツアーのテーマですけど、まさに大津さんのスタイルですね。われわれ現代日本人へのメッセージでもあります。

参加者は学生や社会人、年配の方も含めて幅広いですが、参加のきっかけや目的はどんなことなんですか?

大津:

参加した方の中には、東北の高校で長年教鞭をとってきた先生もいたな。いつも生徒に話しているアフリカ情勢について、自分の目で確かめたかったらしい。難民問題や国際貢献の現場に興味のある若い人もいたし、そこまで具体的じゃないけど、初めての体験をしたいから「とにかく行ってみる!」という人もいるよ。

うえっち:

いいですね。世の中、若者の海外旅行離れなんて言われていますけど、そうとばかりは言えないですよね。

オッツィー:

そうですね。でも、近場ならともかく、長い旅はしなくなったようですよ。昔だったら、海外へ行けば何かあるだろう、それを確認してみたいとか、若い人たちにそんな感覚があった気がします。だけど今はなんか違うかな。

ネットやSNSで情報が入ってくるから、見た気になっちゃうのかな。

たむろう:

旅行者のブログも写真や映像はプロ並みだし、疑似体験はばっちり。興味はあっても、確かに行動を起こすのは大変でしょう。

オッツィー:

お金の問題もありますよね。両親が卒業旅行にお金を出さなくなったようです。積極的に送り出さないのは、多発するテロの影響もあると思う。

 

うえっち:

そういえば、友達と卒業旅行を計画しているなんて話を、後輩からも聞かないな。必死にバイト代を貯めて海外へなんていう学生は減ったかも。

オッツィー:

携帯電話やスマホにお金がかかるんですよね。残念ながら、バーチャルがリアルに比べて優勢ですね。

たむろう:

なるほど。あとはゲームやVR(バーチャルリアリティ)。ポケモンGOかプレーステーションVRか?

うえっち:

ポケモンGOは、閉じこもりの子たちを外へ連れ出したらしいですよ。

たむろう:

確かにね。でも今やお部屋捜しもネットで完結、VRで部屋を内見、陽当たりや眺望も体験できる時代だからな。バーチャルに分があるな、どうみても。

オッツィー:

でもね。一回行っちゃうと、ガラッと変わっちゃうんですよ、海外旅行は。「リアルってこんなに凄いのか」ってわかる。

大津:

そうだよ。なんかネガティブな話してるけど、オレが会った学生たちはみんな、「スタツア」に参加してガラッと変わるよ。意識の持ち方とか。男性も女性も、一皮むけるというか。頼もしいよね。このあいだJICAの人が言ってたけど、最近はまた青年海外協力隊の経験がある人などが、企業から引っぱりだこらしいよ。

たむろう:

即戦力っていうこともあるでしょうけど、「海外へ行きました」ではなくて、そこでの行動とか人との交流、考えたことなんかがアピールできれば、新卒採用でも差が出るでしょうね。大津さんのスタディツアーは、結構レアな体験ができるからその点ポイント高いよな。

大津:

難民キャンプへ行くにしても、そこで働く国連機関のスタッフと知り合えるし、国際協力の最前線にいるNGOとか、それこそ日本の進出企業のメンバーと話したり、行動を共にしたり、名刺交換だってできる。

拓殖大学国際学部の甲斐先生と一緒に2005年からアフリカ・スタディーツアーを続けているけど、ルワンダの外務大臣と面会してディスカッションしたこともある。

うえっち:

凄いな。

たむろう:

現地での取材実績、大津さんのアフリカ人脈がないとできない。本領発揮ですね。

大津:

スタディツアーでは、現場で人と交わる機会を事あるごとに作っている。質問して、話を聞いて、意見を言って、マナーを守れば全部自由。

少々つたなくても、考え方が違っていても、真剣に向き合えば、真剣に答えが返ってくる。それがいいんだよね。

うえっち:

もしかしたら、企業でも国際貢献でも、仕事に就く近道かもしれないな。

オッツィー:

自分がそういう仕事に向いているかどうかを見極めるとか、自分の思いを確認してみるための、またとないチャンスですね。

たむろう:

何しろ、現役ジャーナリストと一緒なんだから、心強いよな。いろいろ踏み込めそうだし、面白いこと(いい意味でのハプニング)にも出会えるかもしれないし。コミュニケーション・テクニックとかがナマで学べる。ジャーナリスト志望でなくても得るものが多いから、参加してみたい気がするなあ。

 

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20代の海外渡航者数は1996年をピークに減少。しかし、これには人口減少も影響しているため、実は渡航者の割合はそれほど落ち込んでいない。

 

※「人口推計」(総務省統計局)、「出入国管理統計」(法務省)をもとに作成

大津司郎:
各局のTVニュースに出演する映像ジャーナリスト、アフリカ撮影などのコーディネーターとして、アフリカ各国への渡航歴は数知れず。
オッツィー:
たまに登場する、大津氏の古くからの知り合い。世界をかなり旅している様子。
うえっち:
世界のエアーと航空券事情にも詳しく、フレックスインターナショナルの未来を切り拓く?男。
たむろう:
50代、自由業。学生の頃、当時流行ったクイズ番組の影響?もあってアメリカを横断。ヨーロッパ、アジア、中東へも出かけたが、アフリカはほぼ未体験。