体感型アフリカツアー

近頃ちょっと気になるアフリカ。人の生活や街の様子もどんどん変わって、昔のイメージとは違うみたい。でも実際のところはどうなのかほとんど知らない。そんなアフリカ初心者に、大津氏があれこれ指南。



第5回:何が起こっても不思議でない時代。どうする、ワレワレ?

たむろう:

昨年は、ブレグジットやトランプ政権誕生など、象徴的なことがありました。今までの常識が通用しなくなり、世界の大きな方向転換が始まった気がします。良いにしろ悪いにしろ、拠り所としていた基盤がボロボロと崩れ、足元をすくわれる不安がありますね。

大津:

アメリカ、中国、ロシアの間で日本の立ち位置も微妙だぞ。そればかりでなく、変化の中で世界各国としっかり渡り合っていかないと。

たむろう:

世界終末時計が進んでついに残り2分30秒になったとか、実はトランプ政権実現の立役者がニュージーランドに核シェルターを購入しているらしい、とかいう話をネットで見ました。

大津:

まあ、いろんな話がネットでは盛り上がるよな。

たむろう:

日常の生活はそうそう変わらないけど、一方で「きな臭い」予兆はいくつもある。そのギャップが気味悪いな。先行き不透明感は増すばかり。

大津:

いずれにしても、頭でっかちで終わってはだめだよ。教科書どおりに事は運ばないし、運ぶつもりでいたらだめだ。国を超えた交渉は厳しくなるだろうし、その都度、最前線で丁々発止やっていかないと、飲み込まれてしまう。日本はそこがちょっと弱い。

たむろう:

状況は複雑ですしね。難民問題にしても、これまで圧倒的に閉鎖的な態度を取ってきた日本が、受け入れ制限に傾きはじめた他国をどう評価するかは微妙な問題。そう考えると、自分はといえば、例えばスタディーツアーで難民キャンプを訪れたなら、難民たちにどう向き合ったらいいのかわからない。ただ漠然と「大変ですね」なんて言えないし、戸惑うと思います。

大津:

その場に立ってみることだよ、とにかく。どう自分が反応するか、それを試してみるのもいいんじゃないか。

たむろう:

そうですね、でも、自分の置きどころがいまひとつわからないんだな。

大津:

そんなこと気にせずに、コミュニケーションを取ること。難民キャンプの子どもたちは、無心で向こうから飛び込んでくるよ。

たむろう:

それはまあ、子供は好きなので、一緒にふざけて遊べば楽しいでしょう。

大津:

とにかく、何もしないのでは始まらない。向こうの反応も来ない、悪循環。まずは挨拶、当然だけど。それから何か自分を表現してみる。軽くボールを投げて、返ってきたらまた投げる。対話はキャッチボールでしょ。

たむろう:

確かに、普段どおりということですね。考えすぎずに、普通の知人として付き合えばいいんだろうな。

大津:

そうだね。例えば地元のガイドやドライバーが我々を元少年兵のリハビリ施設などへ案内してくれる時、何と言うか。施設の方に”I’m coming here to pay respect to you.”と表現する。「敬意を払うために来ました」と言うんだ。素晴らしいコミュニケーション能力だよ。

たむろう:

純粋に人間同士ということですね。お互いの国や、送っている人生は違うけど、そんなことは脇に置いておいて対話を楽しむということかな。

大津:

こちらが表現すれば、向こうも返してくる。

たむろう:

せっかく遠くから会いに行って、そこで一緒に過ごす少しばかりの時間は、貴重なもの。だから、お互いハッピーになりたいもんな。

大津:

そう、その時にビンビン感じるよ。彼らの思いとか、いろんな事情とか。ネットじゃわからない、本当の感触。今の世界の現実。「現場へ行こう」スタディーツアーの本質だね。

たむろう:

大津さんと現場へ行ける。そこから先、余計なこと考えずに動けばどんどん何かが返ってくる。そのあたりが、おきまりの観光ツアーとの違いなんですね。

 

各国の難民受け入れ数。No.1はトルコ。

気になるあの国、そして日本の受け入れ数を比較(2015年末現在の数字)。トルコ、パキスタン、レバノン、イラン、エチオピアが1位〜5位。ウガンダ(8位)以下は抜粋。中国は約30万人で15位、米国は約27万人で17位、日本は2,474人で91位。

※UNHCR Global Trends 2015のデータをもとに図を作成

一人当たりGNPで換算すると?

一人当たりGNP(購買力平価)で換算した受け入れ数。順番が変わる。また、日本を含む先進国は大きく順位を下げ、途上国の負担が大きいことがわかる。

※UNHCR Global Trends 2015のデータをもとに図を作成

 
大津司郎:
各局のTVニュースに出演する映像ジャーナリスト、アフリカ撮影などのコーディネーターとして、アフリカ各国への渡航歴は数知れず。
オッツィー:
たまに登場する、大津氏の古くからの知り合い。世界をかなり旅している様子。
うえっち:
世界のエアーと航空券事情にも詳しく、フレックスインターナショナルの未来を切り拓く?男。
たむろう:
50代、自由業。学生の頃、当時流行ったクイズ番組の影響?もあってアメリカを横断。ヨーロッパ、アジア、中東へも出かけたが、アフリカはほぼ未体験。