体感型アフリカツアー

近頃ちょっと気になるアフリカ。人の生活や街の様子もどんどん変わって、昔のイメージとは違うみたい。でも実際のところはどうなのかほとんど知らない。そんなアフリカ初心者に、大津氏があれこれ指南。



第1回:“Perhaps I Arrive” いつになったら着くの?ナイロビ

たむろう:

私が20代のころだから、もうかなり前の話。取引先の知り合いが「新婚旅行へ行く」というので、どこへ行くのか聞いたら、一言「ケニア」って答えたんです。「なんか、かっこいいな〜」と思いましたね。

大津:

お、そうなんだ。

たむろう:

おチャラけた感じの人だったけど、帰ってきたらちょっと人が変わった感じでした。
「アフリカはすごい! 人も自然も。生き方、変わるよなー」なんて言うし、たまに遠くに目線をやったりして。
この人の人生を変えたって、いったいどんなインパクト? 今でも気になっています。

大津:

何というか、大地にパワーをもらうんだよ。あと、人や空気から生命力をもらうね。俺の渡航歴はハンパじゃないけど、今でも行くたびにそうだよ。想像しているだけじゃだめだな。早いとこ、アフリカ、行かないと。

たむろう:

でも遠いし、飛行機少なそうだな。

うえっち:

案外そうでもないんですよ。今は関空と成田からバンバン飛んでいます。

大津:

昔とは大違いだよ。航空会社も選べるしね。若いころ乗ったのはもっぱらパキスタン航空だったな。あとはインド航空かな。いずれにしても、まあ時間がかかったよ。

たむろう:

そうですか。

大津:

当時の便は経由地がやたら多いわけさ。日本を出たらまずマニラ。そこで「サンミゲル」を飲むだろう? 次はバンコックで「シンハー」を飲む。カラチで一泊して、次の日がドバイ。

たむろう:

ほう。

大津:

ドバイでナイロビ行きとか、アフリカ各地へ飛ぶ路線に乗り替えるわけ。

たむろう:

なるほど。いいですねー。ビール旨そう!

大津:

何言ってるの! たっぷり二日半はかかるんだよ。

たむろう:

そんなに!

大津:

一番大変なのはカラチの乗り替え。

ホテルも含めて、飛行場にパキスタン人がもうわんさか集まってきて。エアポートの出口とかイミグレーションの周りでも人だかりがものすごくて。

そういうちょっとしたハードルを乗り越えてやっとドバイにつくわけさ。パキスタン航空(PIA)のことを”Perhaps I Arrive”って呼んでたな、俺たちは。

たむろう:

いいな、それ。

大津:

ドバイも今は超高層ビルやピカピカのホテルだらけ、すごい近代的な都市だけど、80年代〜90年代は空港もまだ小さくてさ。

オッツィー:

ドバイは100年〜150年前に船で栄えましたね。交易船の中継基地として盛り上がった。

その後は飛行機にシフトして、今エミレーツ航空がものすごい便数を飛ばすようになっている。経済の新しいハブ拠点にしようとしているんですね。時代は変わります。

大津:

たしか最初は、日本発着は関空からだけの週4便。

不思議なものでデイリーで毎日飛ばすようになるとお客さんが増えるんだね。そのうち、成田からも飛ぶようになった。

今は、ナイロビまでドバイ経由で15〜6時間かな。

たむろう:

便利なんですね。エミレーツはチケット安いのかな。

うえっち:

10年くらい前は安かったけど、今はあまり格安感がないな。

オッツィー:

ライバルのカタール航空が、同じようなやり方をしてきていますね。

うえっち:

今は、中東系のエアーではカタール航空やエティハド航空が少し安め、後発のエミレーツが高級路線をとっています。

たむろう:

エミレーツは飛行機が新しいイメージがあるな。A380を早い時期から飛ばしたり。

オッツィー:

そうですね。エミレーツはとても先進的。最新の機種を採用してお客さんがついたんですよね。

あと、裏話ですけど、日本にいる出稼ぎの人をうまく取り込んだ。

成田・関空発着で、ドバイ経由リオデジャネイロ行のルートがあるんですけど、航空券を安くする代わりに荷物を無料にしたんです。

たむろう:

へえ〜。

オッツィー:

極端な話、土産の電気製品なんかを20個積んでもタダだから、北米経由より全然安いわけです。

大津:

確かにそう。30時間近くかかるけど、みんなそれでもいいんだよ。

たむろう:

昔、ヨーロッパへも南回りは安かったですよね。

大津:

でもきつくてね。ロンドンまでパキスタン航空で行った時は死にそうになったよ。キプロス経由とかでね。着いたときは本当に体がボロボロ。

オッツィー:

確かに昔は北回りでヨーロッパなんて行かれなかった。本当に高かったですよ。学生なんか時間と体力はあるから、みんな南回りしていましたね。

たむろう:

実際、今日本人はどれくらいアフリカへ行っているんだろう?

大津:

それがね、このあいだネットで見ていたら、4年前の2012年にケニアへ行った日本人が15,000人くらい。

2013年と2014年はなんとか10,000人をキープしたけれど、去年(2015年)はたったの6,000人。

これは何とかしないとって、みんな言っていますよ。

たむろう:

飛行機が便利になったのに減っているんですか。逆に日本へくるアフリカ人は?

大津:

そっちはもっと少ない。アフリカ人へのビザ発給条件が厳しくて日本へ来られないんだよ。

日本に保証人がいないと簡単には入国できない。

たむろう:

えっ、そうなんですか?

大津:

JICAや政府機関、どこかの会社の社長なんかが保証しないと簡単には来られない。巷ではインバウンドだ、爆買いだって騒いでいるけど、アフリカ人はほとんど増えていない。

たむろう:

ビジネスは?

大津:

海外勢、特に中国なんかに比べて日本はアフリカへの関心がまだまだ低いのが現状。ビジネスっていっても、メインはODAがらみでしょう? 今年のTICAD以降、若干は上向きそうだけど。

たむろう:

うーん、なるほど。ということはアフリカとの関係はまだまだこれから。
逆に言えばいろいろチャレンジの余地がありそうですね。

 

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ケニアに渡航した非居住者の日本人は少なく(入国側のデータ)、米国を訪れた人数と比べると1/446、カンボジアと比べても1/25に過ぎない。

※一般社団法人日本旅行協会、Kenya National Bureau of Statisticsのデータをもとに作成(2013年)

大津司郎:
各局のTVニュースに出演する映像ジャーナリスト、アフリカ撮影などのコーディネーターとして、アフリカ各国への渡航歴は数知れず。
オッツィー:
たまに登場する、大津氏の古くからの知り合い。世界をかなり旅している様子。
うえっち:
世界のエアーと航空券事情にも詳しく、フレックスインターナショナルの未来を切り拓く?男。
たむろう:
50代、自由業。学生の頃、当時流行ったクイズ番組の影響?もあってアメリカを横断。ヨーロッパ、アジア、中東へも出かけたが、アフリカはほぼ未体験。