第1回:「ちがい」
一人の人間が世の中を生きてゆくとき、偏差値(成績優秀)、資格、長時間労働(限度はありますが)などで他と差をつけるが平均的思考です。わたしはあるとき英字新聞を見ていて、メリルリンチというアメリカの超一流金融企業(現在は吸収合併で、メリルリンチ・バンク オブ アメリカ)の一面広告に目が行きました。そこには社是として、やや控えめに〝Difference is Merrill Lynch〟と書かれていました。メリルリンチはビジネスにおいて他との〝ちがい〟を追求する。シンプルです。しかし分かりやすいです。その〝ちがい〟を求めて、メリルリンチは世界のマーケットの隅々を歩き、ビジネスを探しています・・・。そんなことがその下に補足されていました。
それを目にしたとき、軽い衝撃を受けました。「そんな世界的一流企業でも、そうなんだ」。〝ちがい〟というシンプルを追い求めるために努力を重ねている--つまり、資格、偏差値、長時間努力・・・と同じように(他との〝ちがい〟もまた生きるための〝武器〟になるということです。まったくスケールと深さはちがいますが、わたしも一応〝ちがい〟を求め、探してアフリカに行ったのかもしれません。
では現実に、何に〝ちがい〟を求めるのか、身近なものとしてわたしには〝旅〟が浮かびます。旅にも様々ありますが、自分の武器としての〝ちがい〟を探し、求めるわけですから、普通とは少しちがう旅をしたいですね。多分、ちがう旅からは、「自分だけの情報」「人間関係/ネットワーク」が生まれます。それは当然、今の平均的日本社会では、使い方によっては大きな武器です。はっきりと他とは〝ちがう〟何かを持っている自分をアピールできるからです。
まだまだ今の日本ではアフリカは遠く知られていません。けれど、〝ちがい〟を探す宝庫です。しかも日本のメディアが報じないだけで--資源、紛争、難民、そして国際援助と成長続けるビジネス、人間のすべてがあります。世界中から多くの国々が殺到しています。今そこは世界の最前線:Global-Frontlineです。
フレックス・インターナショナルさんとのコラボで催行するレア旅、ツアー「現場へ行こう」は、わたし大津司郎のそうした考え方、そして長いアフリカ体験から生まれた企画です。
※ムゼー:ムゼーの意味はスワヒリ語で目上の人に対する呼び名、尊称です。
*大津司郎/紛争ジャーナリスト(TV番組でアフリカ紛争:ルワンダ、ソマリア、コンゴ、スーダン、アンゴラ、ブルンジ、ウガンダ、イラク等々をレポートしてきました)アフリカ・ツアーガイド、TV番組コーディネーター、たまにトーク・イベントをする旅人。
1970年、船ではじめてアフリカに行ってから半世紀、今もアフリカに行き続けています。